パンチ・グラフト(パンチ式植毛手術)

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パンチ式植毛手術の一種であるパンチ・グラフトとは、まさに植毛の歴史の初期ともいえる手法であり、1960年代に広く植毛に用いられた手法のことです。

現在では使用されない手法ではありますが、現在の植毛法にも活かされている手法でもあります。

植毛について詳しく知りたい人は、まずパンチ・グラフト、パンチ式植毛について知っておくべきでしょう。

パンチ式植毛の始まり「パンチグラフト」とは?

パンチ式植毛の初期手法、「パンチ・グラフト」とは、簡単に言えば直径3~5ミリほどの特殊なメスを使って、一度に20~30本もの毛束を毛根からくりぬいて、薄毛の部位に植毛するという自毛植毛の1種です。

これは他の植毛手術と比べ、かなり広い範囲、多い毛束をドナーとしてくりぬく手法で、ドナーサイズが大きいというのが大きな特徴ともいわれます。

毛髪というのは根本で束になっていることも多いので、ドナーサイズを広くとるパンチ・グラフトではより高い定着率で自毛植毛ができるというメリットもあります。

しかし一方で自然な毛の流れを作れなかったり、密度が出しにくいなどと言ったデメリットがあるのも事実です。

現在ではパンチ・グラフト方式での植毛は稀で、ミニグラフトへ進化し、ミニグラフトはマイクログラフト手法へと進化しているので、原始的なパンチ・グラフトが使用されることはほぼありません。

ですが、現在の技術であるマイクログラフトという自毛植毛の手術法は、そもそもこのパンチ・グラフトという手法から進化した手法であることは覚えておくべきでしょう。

3、4ミリ径のパンチを使って頭皮から直接一株一株くり抜く

3~5ミリほどの直径のパンチのような円形のメスを使用し、頭皮から毛根部ごと1株1株くりぬく「パンチ・グラフト」。

ドナーサイズはこのメスサイズと同じで、直径3~5ミリの円形、1株20~30本単位の毛束で取り扱われます。

そして株分けしたこの1株1株をパンチやメスで新たに作った毛穴に移植するという方法です。

つまり、パンチ・グラフトとは簡単な流れで言えば3ステップであり、ステップ1「ドナー採取」、ステップ2「ホール(毛穴)の作成」、ステップ3「移植」という流れになります。

パンチグラフトは「手術短時間ですみ、生着率が高い」というのが特徴的

パンチ・グラフト方式で自毛植毛をするメリットは大きく分けて2点あります。

メリットの1つ目は、手術が短時間で済むということです。

パンチ・グラフトでは、1度に20~30本もの毛束をくりぬくので、1株がとても大きく広い範囲を一気に植毛できます。

その為、他の自毛植毛手法と比べ、かなり短時間で植毛を完了できます。

2点目のメリットはパンチ・グラフト方式で植毛すると、定着率、生着率が高いので、植毛を希望通り叶えて成功させることができます。

パンチ・グラフトでは元のドナー部分が広い分、生着率を高める理由でもある、「ドナードミナント理論」がより高く発揮されます。

ドナードミナントとは、ドナー(移植毛)、ドミナント(優勢)という意味で、移植した毛のもともと生えていた頭皮環境がより強く反映されるという性質を意味しています。

ドナーとなる移植毛の毛根部分が広く移植されることで、よりドナードミナント理論が強く働き、移植先の頭皮環境があまり良くなくても、もともとの頭皮環境のほうが優勢になります。

その為、高い定着率が期待できるのです。

また、移植する毛の毛根や毛母細胞を傷つけてしまうと、定着率を下げる原因となりますが、パンチ・グラフト方式での植毛では、部位を広くくりぬくので、傷つける可能性がとても低い為、定着率が高いのです。

ですが、これらのメリットを踏まえても、現在はパンチ・グラフト方式での植毛によるデメリットのほうが目立つようになっています。

そもそも50年以上経過している方法ですから現在の技術のほうが進化しており、現在この方式で植毛する必要性はほとんどありません。

パンチグラフトは円柱状に植えた部分が田植え状になり日本人の黒髪では不自然な外見に見える

パンチ・グラフト方式での植毛の最大のデメリットは、「不自然な仕上がりになること」です。

パンチ・グラフト方式で植毛をした場合、まず密度がとても低いです。

というのも、そもそもドナーとなる株が3~4ミリと大きいので、採取したもともとの肌は大きく傷つき、傷も目立ちます。

さらに、移植先の部位では他の植毛株との距離が大きく離れてしまうので、隙間が広く、密度が低いので地肌が見え、結果的に薄毛やハゲを隠すに至らないのです。

これでは植毛をする意味がないと思われる方もいるでしょう。

さらに、不自然な仕上がりになる理由として、パンチ・グラフトは田植えのように円柱状のものを植え付ける為、不自然な毛の流れとなり、特に日本人ではこの毛の流れがとても不自然に見えてしまいます。

これは10本以上の毛をまとめて採取し、移植する為に、1本1本を微調整できず、角度が一定になってしまう為です。

特に生え際など目立ちやすい部位では、かなり不自然に仕上がってしまう為、現在ではパンチ・グラフトという方式での自毛植毛は行われていません。

パンチ・グラフト方式での植毛が、日本人では目立ちすぎて不自然に仕上がるために、日本では人工毛での植毛が栄える理由にもなったほどです。

まとめ

パンチ・グラフト方式は現在の人工毛植毛の手法でもあるマイクログラフトへとつながります。

マイクログラフト方式はパンチ・グラフトの定着率を保ちながら、自然な仕上がりが叶う方法ですが、それはパンチ・グラフトの不自然な仕上がりというデメリットを改善し、メリットである高い定着率や手術の単純さを引き継いだ手法であるからです。

このように古くてもう使われない植毛法であっても、知っておくことで現在にどのように活かされているかがわかり、自分に合った植毛方法かを知ることができます。

「〇〇グラフト」と言った名称が出てきたら、「パンチ・グラフトからの派生かな?」と推理し、調べてみるとよりわかりやすいでしょう。

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