先天性無毛症とは?生まれつき毛根が無い遺伝性の病気

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髪の毛に関する病気というのは様々なものがありますが、その中でも病態が重く治療が難しいものとして、無毛症というものがあります。

髪の毛がいっさいなくなってしまうことが多く、発毛させるのが大変難しいので、患者さんはつらい思いをすることになります。

この病気に対する理解を深めると共に、その対策を考えることはとても重要です。

そもそも無毛症には「先天性と後天性」がある

無毛症は多くの場合遺伝的な要素が関係しています。

そのため、先天性無毛症の比率が多い傾向にあります。

生まれた時から髪の毛が全くないか、生まれてきた時は多少の毛があるものの、生後数日から一か月程度ですべてなくなってしまうという症状が見られます。

遺伝的な要因が大きいため、治療は難しくなかなか完治に至ることはありません。

一方で、後天性の無毛症も存在します。

この理由としてはいろいろなものが考えられ、放射線や化学物質中毒など、外的な要因が多いのが特徴です。

他には真菌による感染症や重いアレルギー疾患などが引き金になることもあります。

こうした後天性の無毛症は、外的な要因によって症状が出るケースが多いので、その要因を取り除くことによって症状が改善されることが多いと言えます。

また、全頭無毛症になるよりは局所的な症状に留まることが多いので、治療もしやすいという特徴もあります。

「全頭無毛症と限局性無毛症」頭皮にどのような症状が起こる

全頭無毛症の場合は、この名称にある通り、頭のすべての髪の毛が抜け落ちてしまう、もしくは最初から生えてこないという状態となります。

完全に髪の毛を発育するための機能が失われているため、治療が難しい傾向にあります。

頭部だけでなく眉毛など他の体毛も生えてこないケースも多くみられます。

一方で限局性無毛症は、一部には髪の毛が生えるという特徴が見られます。

この病気は円形脱毛症のように、一部だけが脱毛するということではなく、頭部の大部分が無毛状態で一部にのみ髪の毛が生えてくるという状態が観察されることが多い傾向にあります。

やはり、眉毛などにも症状が現れることがあり、頭部だけに留まらないケースもあります。

頭皮の他に、体に現れる症状は?

頭皮の他に無毛症を患っている人が持ちやすい症状としては、全身の脱毛もしくは無毛状態です。

すべての人に生じるわけではありませんが、人によっては全身の体毛が頭皮と同じように発育せず無毛状態に留まってしまうということがあります。

また、爪や歯などの成長にも影響が出るケースも報告されていて、十分に組織が成長せず奇形状態になったり、かなり小さな状態で成長がストップしてしまうということもあります。

さらに、精神的な疾患を同時に患うこともあり、合併症としてはかなり広い範囲に及びます。

さらに、脂腺母斑という黄色のアザができてるタイプの無毛症では、このアザが広がっていったり、大きな凸凹を持つ皮膚炎のような状態に発展していくこともあります。

親が先天性無毛症の場合、子どもも発症する確率が高い

この無毛症は、遺伝的な要素が大きく関係していると見られていて、親子での遺伝が起こる可能性が比較的高い傾向にあります。

そのため、親が無毛症、特に先天性の無毛症を患っている場合は、その子供も同じ症状を持つ確率が高くなります。

とはいえ、親が無毛症でなくても先天性の無毛症になることはありますので、親がなっていないから大丈夫、逆に親が無毛症だから子供が確実に無毛症になるというわけではありません。

毛髪の成長に関係する遺伝子に変異が起こることで無毛症になる

先天性無毛症のはっきりとした詳しいメカニズムは分かっていません。

しかし、毛髪の成長に関係する遺伝子のスイッチがオフになってしまっていることが知られています。

細胞間の情報伝達を行う構造体に関係する遺伝子が機能していないため、必要な細胞間の情報伝達がなされなくなります。

この組織には毛髪の原料を産生する機能があると考えられていますので、毛髪の成長プロセスが止まってしまうことになります。

こうした遺伝子の変異が細胞、また組織の機能を失わせてしまい、無毛症を引き起こすのです。

副腎や卵巣から出る男性ホルモンの分泌が極端に少ない

また、この遺伝子異常はホルモンバランスの異常をも引き起こすと見られています。

というのも、先天性無毛症の患者さんのホルモン状態を見ると、男性ホルモンの量が極端に少ないことが分かっているからです。

男性ホルモンは過剰に分泌されると、男性型脱毛症を引き起こしますが、逆にほとんど分泌されない状態が続くと今度は体毛や毛髪が一切生えなくなってしまいます。

男性ホルモンは髪の毛や体毛の成長に大きく関わり、体毛の成長因子や脱毛因子の産生や刺激を促すという機能を持っています。

そのため、男性ホルモンが極端に少ないと、そのどちらも働かなくなり、毛髪や全身の体毛が生えなくなってしまうのです。

乏毛症にリアップは効果はあるが、無毛症には効果が期待できない

無毛症の治療としてはいくつかの方法が試されていますが、完全に治療するのは難しいものがあります。

後天性の乏毛症の場合は、まず無毛状態を生じさせた化学物質や真菌感染などの外的要因を取り除くことが第一選択肢となります。

その後、発毛を促すための治療を行うことができ、リアップなどの育毛剤が効果をもたらすことがあります。

しかし、先天性無毛症は、もともと髪の毛の発育プロセスが機能していないことから、毛包を刺激することによって発毛や育毛を促す育毛剤では効果が見られません。

もっと、根本的な治療をしないと意味がないのです。

こうしたことから先天性無毛症の治療は非常に難しいとされていて、なかなか効果的な治療法が開発されないという状況が見られます。

先天性無毛症の治療法にLPA(リゾホスファチジン酸)

このように、先天性無毛症の根本的な治療法はなかなか見つかっていない状態ですが、今注目されているのがLPA(リゾホスファチジン酸)という物質です。

これは、体内に存在する脂質分子の一種で、細胞間の情報伝達を担うという働きを持っています。

先天性無毛症の患者さんは遺伝的な要因から、このLPAの働きがストップしているため、組織間の情報伝達がなされなくなってしまって、十分に組織が機能しない状態になっています。

そこで、このLPAの働き、特に情報を受け取る部分であるレセプターの機能をオンにすることができれば、先天性無毛症が治療できるのではないかと考えられています。

選択的にこのLPAに刺激を与えることができる薬や医療的手法を発見することができれば、先天性無毛症の治療は飛躍的に進んでいきます。

現在のところ、遺伝的な要因が強い先天性無毛症の根本的な治療は難しい状態ですが、徐々にこうした医療的研究開発がなされていますので、これからの進歩に期待することができます。

まとめ

無毛症とは様々な要因によって頭部もしくは全身の毛が生えてこないという疾患です。

もともと遺伝的な要因で無毛症が生じる先天性のものと、化学物質や放射線、真菌感染などの外的な要因によって起こる後天性に分けられます。

また、頭部全体に髪の毛が生えない全頭タイプと、一部分には発毛が認められる限局性があります。

遺伝的な要因によって、副腎などから分泌される男性ホルモンの量が極端に少なくなってしまい、発毛機能が止まってしまっていることから先天性無毛症が生じると考えられています。

治療が非常に難しいのが現状の病気でもあります。

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